建設工事職とSDGs

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建設工事職とSDGs

建設工事業界の現状
建設工事業界は日本の縮図といわれることがあるように、日本の成長とともに歩んできた業界です。第二次世界大戦後の復興期のインフラ基盤整備からはじまり、道路やトンネル、新幹線などの交通網を整え、強固な生活基盤を作ってきました。高度経済成長期には商業施設やビル建設などが盛んになり、現在の日本の街並みの礎となりました。こうした建設業界の活躍は多くの雇用を生み出してきました。建設投資はバブル期にピークを迎えましたが、バブル崩壊後は投資額が低下。そして日本が豊かになり建築物が不足する状況を脱したこともあり、新規建築件数は減ってきています。

2017年平均の建設業就業者数は498万人で、ピーク時の1997年平均から約27%減っています。しかし建設に関わる職業は人手不足の状況で、特に建設体躯工事職に関しては2020年3月の有効求人倍率が8.77と高い数字になっています。
(※有効求人倍率:ハローワーク公共職業安定所の新規求人数を新規求職者数で割ったもの。求人倍率が1を上回るものはそれだけ労働者が必要な売り手市場となります。)

また建設業では就業者の高齢化への対応が課題となっています。55歳以上が約34%、29歳以下が約11%と高齢化が進行しているため、次世代への技術承継が必要とされています。

建設工事業界とSDGs
東日本大震や日本各地で発生している自然災害からの復興シーンでは、建設工事業界の技術力の高さと作業スピードの速さが注目されています。

建設に関わる仕事は地域インフラの整備・維持の担い手であり、安全・安心の確保を担う守り手という大切な存在です。そしてこれからの地方創生に貢献することができる業界でもあります。SDGsの17目標の中では、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、目標11「住み続けられる街づくりを」に深く関わっている産業です。
働きやすい環境へ変化する建設業界
2018年に国土交通省は「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定しました。これは建設業界の働き方改革を加速させるため、長時間労働の是正、給与・社会保険、生産性向上の3つの分野における新たな施策をパッケージとしてまとめた施策です。

おもな内容は、以下のとおり。

■長時間労働の是正:週休2日制導入の後押し、適正な工期設定の推進

■給与・社会保険に関する取組:技能や経験にふさわしい処遇(給与)、社会保険未加入の建設企業は建設業の許可・更新を認めない仕組みを構築

■生産性向上に関する取組:生産性向上に取り組む建設企業の後押し、工事書類の作成負担軽減のため公共工事関係基準の改定、IoTや寝具術の導入による施工品質の向上と省力化、限られた人材・資機材の効率的な活用を促進

人手不足や高齢化が課題の建設業界ですが、業界の特性を考慮した独自の働き方改革によって休みの取りやすさや、キャリアアップの道すじが整えられていくと想定されます。