「都道府県別SDGs調査2020」の結果から見えた、住民目線の持続性と課題

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「都道府県別SDGs調査2020」の結果から見えた、住民目線の持続性と課題

先日のコラムでは「2020年版の世界各国のSDGs達成度ランキング(Sustainable Development Report 2020)」で日本は193ヵ国中17位であったことをご紹介しました。

今回は日本国内に目を向け、持続可能性という観点で各都道府県の住民に「住み続けたいか」など定住意欲や幸福度に関する調査を行った「第2回都道府県SDGs調査2020」の結果を紹介します。この調査の実施要領は以下の通りです。

都道府県SDGs調査2020の調査概要
・調査方法  インターネット調査
・調査対象  登録調査モニター(15歳以上)から、居住している都道府県別に抽出
・回収数   16,309人 (各都道府県から約350人を回収)
・有効回答数 15,991人 (不完全回答および非居住者を除いた)
        各都道府県は約340人(一部で有効回答数が少ない県がある)
・調査時期  2020年6月12日~6月29日


住民からのSDGs取組評価などが高かった都道府県は?
この調査によると、住民によるSDGs取組評価が高かった都道府県は、1位鳥取県、2位熊本県、3位岩手県の順でした。鳥取県は「とても配慮している」の回答が全国平均(4.8%)の2倍以上となる11.9%にのぼり、「やや配慮している」の31.8%とあわせると4割以上の住民が県の持続可能性への配慮を評価している結果となりました。
(出典:第2回都道府県SDGs調査2020 SDGs評価指数・都道府県ランキング)


SDGs17のゴールの中で各都道府県においてどのような活動が必要と思うかの質問で、最も多かったのは、ゴール11「住み続けられるまちづくりを(41.7%)」でした。とくに秋田県(51.1%)をはじめ、北海道・東北地方での回答が多いという結果になりました。年代別に見てみると20代以下が34.1%であったのに対し、60代以上は53.3%と過半数が必要との回答をしています。
(出典:第2回都道府県SDGs調査2020 自地域に必要だと思う17ゴール)


また、地域に対する不満として最も多かった項目は「高齢化(30.8%)」、続いて「人口減少・過疎化(27.6%)」、「少子化(22.1%)」となり、人口構成の変化に関する地域の持続可能性について不安を持つ人が多いと受け取ることができます。

さらに、「商店街の疲弊・店舗の減少(16.3%)」、「経済の停滞(15.8%)」など、経済不活性から生じる地域への不満も高い傾向でした。
(出典:第2回都道府県SDGs調査2020 地域への不満の上位項目)

定住意欲度や愛着度は?
定住意欲度が最も高かったのは2年連続北海道で、「ぜひ住み続けたい」と答えたのは60.4%、「できれば済み続けたい」が24.8%で、85%以上の人が住み続けたいと考えていることが判明しました。続く2位は沖縄県、3位は福岡県でした。
その一方で、首都圏では定住意欲度が低下。神奈川県は昨年10位から23位、千葉県は昨年24位から36位、埼玉県は昨年28位から44位へと順位を下げました。東京都は昨年4位から33位へと大幅ダウン。新型コロナ感染者数の多さや、通勤ラッシュなど日常生活で感じるストレスの大きさが結果に反映されていると見受けられます。

県民の愛着度が最も高かったのは定住意欲と同様に2年連続で北海道。続いて沖縄県、3位は福岡県でした。昨年36位だった岩手県は急上昇し4位となりました。岩手県は2020年に発生した新型コロナウイルス禍の中、最後まで感染者ゼロを維持していた県として注目され、「実直で粘り強い県民性」であると県知事が発言するなど、「まじめ」「すなお」「人柄がよい」などの長所を県民が再認識したことで愛着の増加にもつながったのでは、とされています。

この調査結果を見ると、SDGsに力を入れている都道府県が必ずしも住民から高評価を受けているわけではないことがわかります。また、自分の住むまちが住民目線で課題に取り組んでいるのか、住民と自治体との課題認識に差異はないのかなどを知るきっかけにもなると思います。みなさんそれぞれの目線で、お住まいの地域のSDGs取組を評価してみると新たな気づきがあるかもしれません。

【参考・出典元】ブランド総合研究所 都道府県SDGs調査2020より