アパレル業界とSDGs

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アパレル業界とSDGs

今回はアパレル業界とSDGsのつながりを見てみましょう。

衣料廃棄問題
2018年に英国バーバリー社が42億円相当の売れ残り商品を廃棄処分していたニュースが話題になりました。高級ブランドにとって売れ残り品が安く販売されることはブランド価値の低下つながるため、それを恐れこのような行動を取ったとされています。しかしバーバリー社自身の行動が信頼という最も大切なブランド価値を失墜させる結果となりました。アパレル会社が余剰在庫を抱えてしまう理由は、過剰生産によるもの。つくったものに責任を持つことはSDGsのゴールにも掲げられており、アパレル産業の意識が見直される時期にきています。
サプライチェーン労働慣行の改善
2013年、バングランディッシュでラナ・プラザという名前の縫製工場ビルが倒壊する事故が発生しました。当時このビルではファストファッションの衣料品製造が行われており、若い女性を中心に1,100人以上が犠牲になりました。この事故によってファッション製造の下請け現場の劣悪な労働環境が露呈し、工場の不十分な安全性や賃金不払い・遅延払いなどの問題が次々と報告されました。早いサイクルで消費される前提で生産される異常なほど安い価格の衣料品の裏側には、低賃金かつ劣悪な労働環境が存在していたことが発覚。不均衡な労働慣行の上に成り立つファストファッションの実態が世界中に広まり、倫理的なプロセスで生産されたファッションを求める世間の声が大きくなりました。
素材生産における歪んだ社会構造の改善
衣料品の主要な素材であるコットン(綿)は西アフリカやアジア地域の大事な生産品ですが、生産コストをカバーできないほど安価な値段で売買される生産者に不利な取引構造な存在します。そのためコットン農家は生産効率を上げようと害虫駆除剤を多用し、地域の土壌汚染や農業従事者の健康被害につながるケースがあります。オーガニックコットン栽培に切り替えることができれば良いのですが、生産コストや栽培の手間が増えるため農家自身の努力だけではむずかしく、適正価格での買い取りを約束してくれる業者や、オーガニックコットンの価値を理解し割高な価格に納得して購入してくれる消費者の存在が必要です。オーガニック栽培やフェアトレードで取引されたコットンであるかどうかを判断する基準として認証マークがあります。
新素材の実用化
近年話題になっている海のプラスチックごみ。このごみをリサイクルして新たな素材に生まれ変わらせ、ファッションに採用するブランドが登場しています。限りある地球の資源を無駄にせず、普通の人がごみだと認識するようなペットボトルやタイヤに着目して次世代のことを考慮した未来目線の製品を生み出します。世界各地の漁師組合と協力し海底からプラスチックごみを引き上げるプロジェクトも実施。海の環境を悪化させるゴミを回収して高品質の糸・素材につくり替える取り組みです。しかし課題も多く、海から引き上げられたごみは水・日光・塩分などによる劣化度合いが一定ではないため、設定した品質基準に達しないものが多いといいます。これを改善するためのさらなる研究開発費が必要です。
アパレル産業も多くのSDGsと関連していることがおわかりになりましたでしょうか。今あなたが身に纏っている衣服がどこの国でつくられているのか、どのような人の手でつくられたのか、素材は何なのか。消費者としてそこに興味を持つことがアパレル産業の構造を変えるきっかけになるかもしれません。